歯を残して認知症予防を! -1-

◎「歯がなくなるとボケやすい」ってほんと?
 
 
 結論からいうと、本当です。歯の数と認知症に関連があることは、東北大学の渡邉誠教授らによる学術調査によって明らかになっています。調査は医学部・歯学部合同で行われ、仙台市内の70歳以上の高齢者1167人を対象に、健康な人と認知症の疑いのある人の歯の数をそれぞれ調べました。
 
 
 その結果、健康な人の歯は平均14・9本だったのに比べ、認知症が疑われる人は9・4本と、その数に大きな差があることが判明しました。さらに、69歳から75歳の高齢者195人の脳をMRIで撮影し、残っている歯や噛み合わせの数と、脳組織の容積との関係を調べると、歯が少ない人ほど記憶を司る「海馬」付近の容積や、意思、思考、空間認識などの高次脳機能に関連する「前頭・頭頂連合野」部分の容積が減少していることがわかりました。
 
 
 渡邊教授は、「噛むことで脳は刺激されるが、歯がなくなり、歯の周辺の神経が失われると脳が刺激されなくなる。それが脳の働きに影響を与えるのではないか」と話しています。歯は、歯根周囲の歯根膜部分が、噛んだ時の刺激を感知し、脳に伝えるセンサーの役割をしていますが、歯が抜けてしまうと歯根膜も失われ、このセンサーを働かせることができなくなってしまうのです。歯を失うことは、脳の一部を失うことと同じようなものなのです。
 
 
認知症と歯の関係
 
 
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