●本気で人を感動させるための歌を一生歌っていきたいから
藤村智史さん((歌手)
◎先生が怒る? 説明が理解できない、あきらめ始めた治療
子どもの頃から歯に対してはコンプレックスがあったのですが、特にグループで音楽活動をしていた頃は一番恥ずかしかったです。大きなステージやテレビでのお仕事もあったのですが、他のメンバーが皆とてもキレイな歯並びだったので、ほんとに自分の歯並びがイヤでした。歯並びがキレイだと口をしっかり大きく開けて歌うことができ、声ももちろん、表情も美しいのです。ヨシ! 自分もそうなるぞと決め、矯正をしようと本気で歯科医院を探し始めました。
まず、かかりつけの歯医者さんに紹介してもらった矯正専門の女医さんのところへ相談に。待合室にいるとき、女性の患者さんが「痛い、痛い」っていっている声が聞こえたんです。その後に続く先生の言葉に仰天!
「初めっから痛いってわかってたでしょっ!」
先生、怒ってるんですよ。痛いから痛いっていってるだけなのに、そんな~怒るなんて!
実際大変な思いをするのだからそうまでしてこの先生にやってもらいたくわないワって次の歯医者へ(笑)。次は男性の先生だったのですが、なんかいまいち説明が納得できず、信用できない……ダメ、はい次……。高いお金払って、痛い思いするのだから心から信頼できる先生にやってもらいたいって……そんなコトは無理なんだろうか、3人の歯医者さんを回った時点で、何だか気持ちが萎えてしまい、いったん治療はあきらめました。
◎やっと出会えた信頼できる先生、納得できる治療法
そうはいっても、心の奥にはいっつも矯正のことが気になっていました。そんなとき、何気なく見ていたインターネットで「抜かない矯正」というのが引っかかったのです。へぇーこれなんだろ~って早速お話を聞きに行きました。
先生の第一印象はもうやさしそう、この一言に尽きる。先生なら、『痛い』っていっても絶対怒らないだろうな~、歯を抜かないでも治療ができることをわかりやすく説明してくれたので、この先生なら大丈夫だと自分の直感を信じ、半分(以上かな?)は心を決めて帰りました。治療は高額なものだし、家族や友人にも相談をし、その後、先生とも何回かお話をして、治療を始めることを決意! これで自分もみんなのようなキレイな歯並びを手に入れることができるんだ! とワクワクした気持ちでいっぱいだったことは忘れません。
◎痛いのなんのって、大丈夫か自分……
治療が始まり、痛いっていうのはわかっていたつもりだったのですが、これがもうほんとうに痛かったのです。診察のたびに『痛い、痛い』っていうものですから、今思えば先生もかなりウザかったと思います。でもどっかの女医さんと違って(笑)先生は「ごめんね~痛いよね~」ってやさしくおっしゃってくれたので、まあ、いってすっきりしたっていうのもありましたね。痛み止めを飲んだり、あとはこれはもう母に大感謝なのですが、痛くて何にも食べられないとき、ぐっつぐっつに煮込んだうどんやサラサラになったおかゆなどを作ってくれました。普段は料理もする自分ですが痛いときは、痛いからやわらかいご飯作ろうとはさすがに思えませんからね。男性の一人暮らしはちょっとキツイかもですね!
あと、女性とのデートはこの時期控えよっかなって思いました。ほら、何かを口にして食べ物が引っかかっちゃうと「あ、ちょっとゴメン」って、トイレに行かないといけない。それもちゃっちゃって終わるコトじゃないから、席を外している時間が長いわけですよ。下手したら女性のメイク直しより長い。初めのうちは、一生懸命歯磨きしてるのね~なんて感じだけど、毎回毎回だと「またぁ~」みたいな……。この時期は恋愛休業( 笑) ?
治療中の話は痛い話ばかりで申し訳ないんですけど、口内炎もできましたし、滑舌も悪くなりました。治療中の途中から歌を教える仕事を始めたのですが、生徒さんも「?」と思うことが多かったでしょうね。「ごめんね、今矯正中なんだ」って事情を話して教えていました。歌っていうのはお腹から声を出すものだから、装置をつけていてもあまり変わらないんですが、話をするくらいのレベルだと、お腹からでなく、口先だけでいいから聞きとりにくくなっちゃうんです。
◎本気で歌に取り組むために、100%の情熱を注ぎ
治療を始めて3カ月くらいでかなりキレイになってきました。感動しましたね~たった3カ月でこんなにキレイになるんだ! もうオシマイでいいんじゃない? くらい。まあ、先生いわくただ揃ってきただけ、ここからきちんと歯を起こしてくるんですと。
いろいろつらかったことばかり話しているけど、今思うと本当にそんなことどうでもいい、たいしたことない。たかが矯正、されど矯正。それで長年付き合ってきたコンプレックスが解消されるんです。ふつうコンプレックスってなかなかなくなるものではないですよね。それが装置を外したとともになくなった。長い間、背負っていた思い荷物を一挙に降ろした……なぜだろう、装置を外す日、その瞬間、涙が出ました。ほんとうに感動でした。
先生からいわれた忘れられない言葉があるんです。
「藤村さん、これは手術だからね」
皆もそうだろうけど、矯正って『歯科』のカテゴリーって思っているでしょ。でも、先生のその言葉で気づいたんです。矯正治療は『歯科』のカテゴリーでくくれるものではないってこと。お腹を切ったり、骨をくっつけたりする手術と同じなんだって。先生の受け売りですが、身体の中で一番堅い歯、骨を動かすんですから、やっぱり簡単なことではない、だからこそ簡単な気持ちでやってはいけないんじゃないかって。それこそ人生を変えてしまうくらいの大きなコトなんですから。
◎新しい自分、そして未来へ
僕は歌を通じて、人前に立つことが仕事だったからきちんと話をしたり、人に対して笑顔を向けたりするのが当たり前でした。でもそんな自分でさえ、もっともっと笑顔が増え、より自然なものに変わった。だからもし、ふつうの人が治療をしたら、僕以上にもっともっと変わるって思います。
人の声としゃべり方ってその人の性格とイコールなものがあります。弱気な人はぼそぼそしゃべるし、元気のない人は声のトーンが低くなるし。だから矯正をして、口元のコンプレックスがなくなり、歯を見せて大きな口でしっかりしゃべれるようになると、そこから明るい性格が作れるのではないか、前向きな自分をプロデュースできるのではないかと思います。
自分もいろいろ紆余曲折があったけど、これからも本気で歌をやっていきたいので、本気で前を向いて生きていきたい人、特に歌を本気でやろうとする同業者は絶対! 治療を考えた方がいいと思います。僕も同様で歌の世界の人間は、そんなにお金がない人が多いけど、自分の夢に一歩近づき、その夢をかなえるための矯正だから、それに払うお金は何事にも代えられない、意義のある素晴らしいことではないかって、今は素直にそう思っています。だから悩んでいる人がいたら200%お勧めします。
生意気だけど先生にも、もっともっと僕のような、患者さんに対して感動を与えて欲しいって思います。僕も先生のように、人に感動を与える歌を歌えるようになりたいと思っています。
先生、ほんとうにありがとう。先生と出会えてほんとうによかった……。