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非抜歯矯正治療症例集-1-

 第1章でお伝えしたように、歯並びや咬み合わせはいろいろなパターンがあります。私の行っている小臼歯非抜歯矯正では、従来の抜歯矯正や非抜歯矯正で行われてきた平面的に歯の位置を捉える手法ではなく、3次元的なコントロールが必要となります。この項では、主たる歯並び・咬み合わせについて、実際の治療を交えて説明します。
 
 
◆叢生
 叢生は、一般的には「乱ぐい歯」ともいわれ、患者さんが気にされる歯並びのトップです。当然、矯正治療を受けようと思う方も多いのですが、歯科医は乱ぐい歯に至った原因を考えて治療計画を立てることはまだまだ少ないようです。他の病気の治療と同じように、矯正治療でも原因をなくさなければ根本治療とはなりません。ここでは乱ぐい歯の原因に非常に多い、親知らずが原因となっているケースを元にお話ししましょう。
 
 
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 写真は、19歳の男性の歯並びです。この写真を見て誰もが前歯の乱ぐい状態を気にするでしょう。歯科医も同じく、重なった前歯を並べるためのスペースがないと判断する場合が多いのです。結果的に、スペース確保のために第一小臼歯を抜くと診断し、矯正治療前に抜歯します。この方も矯正歯科で第一小臼歯を4本抜かないと並ばないといわれたそうです。しかし、前歯が乱ぐいになったのは、前歯が原因ではなく奥歯に原因が潜んでいて、結果として前歯に症状が現れていると診断すれば、治療法は全然違ってきます。歯の状態やレントゲンを見るとよくわかりますが、歯が前方と内側に向かって倒れていますね。最後方には親知らずが横向きに埋まっているのもわかります。このような状態の親知らずは、アゴの奥行きがなく、手前の歯に引っかかって生えてくることができません。埋まっている親知らずの生えてこようとする力は強大で、どんどん前歯まで倒していく原因となります。この場合、原因となっている親知らずは抜かなければなりませんが、そのほかの歯は原因ではなく結果として生える方向が悪くなっているだけですので、抜く必要はありません。むしろ28本の歯を機能させ、咬み合わせを安定させるために必要な歯ですので、抜いてはいけません。
 
 
 すべての歯を本来生えてくるべき軸方向に正せば、結果的に前歯もきれいに並びます。

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