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健康な歯を抜かない歯並び治療-1-

◎実際の治療の流れ
 
 
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◆初診日
初めて患者さんと歯科医、デンタルスタッフが会う日です。矯正治療は、取れた銀歯をくっつけて終わりといった単発で終了する治療ではありません。患者さんにも長期間負担のかかる治療です。成功のためには患者さんの努力も必要ですから、医療者側と患者さん双方が納得して、始めなければなりません。
 
 
また、患者さんの背景を見ながら行うのが本来の医療のはずです。患者さんの咬み合わせの状態、体調、困っていることなどをじっくりと聞かせていただきます。患者さんからも、歯科医やデンタルスタッフに、疑問点などを積極的に聞いてみましょう。
 
 
◆観察期間
初回で患者さんの症状をチェックし、矯正治療が必要だと認められても、全員がすぐに治療に入るわけではありません。しばらく観察期間を設け、治療を始めるのに一番よいタイミングを見計らう場合があります。お子さんの場合は特に、骨の成長や歯の発育を考慮に入れながら、一番いい時期を選ぶ必要があります。大人の方でも2~3カ月、観察期間をとることがあります。例えば初診時にアゴの関節に痛みがあっても、それが一次的なものであることもあるからです。こうして、患者さんのコンディションをじっくり見極めて治療を始めます。
 
 
◆検査・診断
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患者さんを診察させていただくとき、ただ単に歯を診るだけではいけません。矯正治療に限らず、歯の治療は総合的な診断のうえ行うべきです。そのために最も大切なのは精密検査です。あらゆる資料を集め、患者さんの状態について知らなければなりません。歯の写真やお顔の写真を撮ったり、歯型をとったりレントゲンを撮影したりするのはごく基本的なことです。普段の生活の中で、歯並びや咬み合わせに影響が出ることをしていないかのリサーチも重要です。さらに矯正治療をするうえで、検査項目として非常に大切なのは、アゴの関節の動きと歯の関係です。人間のアゴの関節は非常に複雑な動きをします。犬や猫のアゴの関節は回転運動だけです。しかし、人間のアゴは回転運動だけでなく、前の方へスライドします。また、わずかではありますが後ろの方へも動きます。複雑なアゴの動きと歯の調和が取れていないと、どんなに歯並びが良くても矯正治療が成功しているとはいえません。
 
 
矯正治療を始めるには、いろいろな検査を受けていただく必要がありますが、もちろん検査項目の1つ1つに意味があります。それらすべてを総合的に診断し、治療目標を決めることが非常に大切です。目標が定まると、治療のために使う矯正装置や治療期間、費用などが決まります。
 
 
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歯並びや咬み合わせは十人十色で、同じ人はいません。あなたの歯の形や、歯並びは、世界でただ1つです。私が最も大切だと思うことは、それぞれの人が必ず個性的であるということです。サンプル写真や参考症例とまったく同じ人は絶対にいません。「あなたの歯」であり、「あなたの歯並び・咬み合わせ」なのです。ですから、それぞれの患者さんの実際の歯型を使用した治療後のシミュレーションモデルを作製します。そうすることにより、どのような歯並び、かみ合わせになるのか、立体として目で見ることができます。「なんとなく、こうなります」「受け口が治ります」「ガタガタの歯並びがきれいになります」といった抽象的なものではなく、そのものズバリを見ていただきますので、何よりもわかりやすいです。
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Page6_7Page6_6もちろん、シミュレーションモデルを作るためには、正確なデータが必要です。人間の歯には不変の法則があり、それを無視して、ただ歯を並べたり、被せものを作るのは、とても乱暴なことだと思います。私たち歯科医療従事者がそのことを重要視しなければならないのはもちろんのことですが、「あなたの歯」をあなた自身が深く知ることが大切だと私は考えています。自分自身をよく知ることが、誰のものでもない「あなたの歯」を自分で一生守り抜くことにつながると思います。ですから、さまざまな検査から得られた「あなたの歯の情報」を、ぜひ、しっかりと理解していただきたいと思います。
 
 
◆矯正治療開始(装置の装着)
矯正装置を歯に装着し、歯を動かす治療を開始します。装置装着期間は1~2年程度で、咬み合わせの状態によって異なります。治療の必要性を理解していただいた患者さんは、矯正中の約束を守ってくださるので早めの完了につながります。お子さんの場合は特に、ご家族の支えも大切です。
 
 
◆通院
矯正治療中は月に1~2回受診していただきます。装置の調整や歯の動きのチェック、必要な処置を行います。治療中はデンタルスタッフの指導どおりに歯磨きをしていただきます。
 
 
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◆保定期間
矯正期間が過ぎると、歯並びを保持する保定期間に入ります。歯を動かすための装置をはずし、代わりにリテーナーという保定装置をつけます。それと同時期に、矯正治療後の再検査を行い、咬み合わせやアゴの関節の機能をチェックします。
 
 
保定期間は約1~2年です。この間、2~3カ月に1回受診していただき、装置のチェックと歯の状態を調べます。次第にリテーナーを夜だけ使用していきます。
 
 

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