口元の美しさを考える-3-
◎口元から始めるアンチエイジング
アンチエイジング(抗加齢、抗老化)医療が注目されていますが、歯科治療はまさにその医療の一翼といえます。私たちが健康的な生活を送るうえで、食べる、飲む、話す、笑う、といった根本的な欲求を満たすことは、生活の質を常によい状態で継続し(クオリティオブライフの充実)、心と体の健康に必要不可欠なことだといえます。その基本をクリアすることこそがアンチエイジングにつながります。
口の健康が失われると、食事や会話などの日常生活に支障をきたし、老化のスピードが速まります。しっかり噛めないと、食べものを美味しく味わうことができなくなり、食生活の質が低下し、それが健康に影響を及ぼします。口臭が気になったり、歯並びなど見た目に支障があると、他人とのコミュニケーションに自信がもてなくなり、外に出るのが億劫で内にこもりがちになり、それが人間を老けさせることにもつながります。歯が心の健康に及ぼす影響は非常に大きく、口の健康がアンチエイジングの要になっているといっても過言ではないでしょう。
見た目の問題も大きく、一般的に加齢とともに口腔周囲の筋力低下が起こり、張りがなくなるために老けた顔つきになってしまいます。そのうえに歯がない、すり減ってしまっているなど問題があると、よりくぼんでしまい、口元のシワや法令線などが余計に目立ってきてしまいます。バラエティ番組で若いタレントさんが年寄り役を演じるのに、歯を1本黒くしてしまえば、ただそれだけで年寄り役になりきれてしまうということも歯が人の年齢を表すバロメータの1つであるともいえます。
健康な白い歯があれば、それだけで若く見えるということは、誰もが周知のこと。「芸能人は歯が命」と一昔前に流行ったフレーズではありませんが、人の受ける印象に「歯」というものが大きく関与している以上、年齢を感じさせない美しい歯があるということは、ただそれだけでアンチエイジング効果に大きくつながるもの、単純なことなのではないでしょうか。
COLUMN2 大切な全身のバランス
みなさんは「食いしばる力」がどれくらいかご存知ですか?
実は、一般人でも50㎏ぐらいあるといわれています。スポーツ選手はかなり強く、100㎏以上という方もいます。その力を受ける場所は?…そうです。「歯」なんです。特にスポーツ選手にとって健康な歯は命です。打つ、飛ぶ、投げる、その最高に輝く瞬間、歯にかかる力は強烈です。インパクトの瞬間、歯に存在する鋭敏なセンサーは、瞬時に脳に指令を送り、血流を増やし、筋肉を緊張させ、全身の能力を最大限に発揮します。特に一流を目指すスポーツ選手には、歯が健康であることは必須です。もし歯が悪かったり、咬み合わせのバランスが取れていなかったら…当然、全身のバランスは崩れ、パフォーマンスは下がり、ケガも多くなるでしょう。激しいスポーツをしない一般人でも、歯が健康であることは身体能力を高め、持続力にもつながります。しかし、頬づえ、うつぶせ寝、いつも左右どちらかの顔を下にして寝る、唇を噛む、舌で歯を押す、食べるときに左右どちらかばかりで噛むなど…、歯やアゴに不自然な力を加えていると、歯やアゴのみならず、顔のゆがみの原因にもなりかねません。そして、このように何気なくやっている日常の癖で、歯が動いて全身のバランスを崩してしまう場合があるのです。
矯正治療では歯を動かすために必要な力は、100gもあれば十分であるといわれています。人間の頭の重さは、成人で5㎏前後。もし毎日うつぶせ寝をしていたら、気がつかないうちに歯列に無理な力を加えていることになりかねません。力の方向によっては、アゴの関節にも悪影響を与え、アンバランスな状態を引き起こす可能性もあります。このような癖で歯が動かされる力は矯正治療の30倍という説もあるくらいです。
また、最近気になるのは、「姿勢」の悪さです。以前、小学校へ訪問する機会がありました。みんな元気に見えましたが、子どもたちの体は、斜めに曲がっている、頬杖をつく、頭を机につけるようにして字を書いている、など挙げればキリがないほど姿勢が悪いのには驚きました。わずか100gの力でも持続的に歯に力がかかれば、歯は動いてしまい、やがて咬み合わせも歯並びも悪くなります。アゴに不良な力がかかり、頭部の重心が崩れます。咬み合わせのバランスが悪いと集中力も育ちません。〝体のゆがみ〟というのは、歯はもちろんですが、舌の位置や動き、顔や口の周りなどの筋肉(表情筋や咀嚼筋)のバランスも関係しています。歯並びと一緒に全身のバランスにも気をつけていくことが大事です。
心と体は表裏一体。子どもがうつむいてしまう社会は、私を含めた大人が作っているのかもしれません。でも私は、大人は最高に楽しいと思っています。私は歯科という仕事を通して、楽しく働く姿を子どもたちに見てもらいたい。大人に夢がなければ子どもは夢をもてません。すべての子どもが健康で夢いっぱいに育ってほしいのです。
デンタルスタッフによるワンポイントレッスン2
<<矯正治療中の楽しい生活>>
私は矯正中、普通に出かけていて外食もしていました。あるお店で、装置の関係で食べられなくって残してしまったら、店員さんに「お口に合いませんでしたか?」と聞かれ、思い切って矯正治療中であることを話したら、小さく切ってきてくれました。
また、おすし屋さんでは、座った席のとなりの外人さんが矯正中でした。私のことを見て「友達♪」っていってくれました。そしたら、お店の人が「矯正中で、食事がしにくいことを悩んでいたから、お姉さんも装置がついていたから、うれしかったんだろうね」と言われて私もうれしかったことがあります。
とにかく気にせず、普通に過ごすことですね。自分が思っている以上に周りの人は理解してくれるように思います。歯が痛いとき、歯磨きなど大変なこともあるけど、自分の中で気持ちをため込まずはっきり言うことが大事かな。
2 年経ったら本当にキレイになるから、前向きに頑張ってほしいです。私も治療中悩んだこともたくさんありました。でも、今は治療してほんとうによかったと思っています。
★矯正中は、硬いものを避ける、ガム・キャラメルなどくっつきやすいものはNG!
★ O リングをカラーO リングにして楽しむ。
★食事に制限が出てくるのでレパートリーをたくさん考える♪
★お口の中に口内炎ができやすいので、ビタミン剤を飲む。