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口元の美しさを考える-2-

◎「Eライン」という日本人にとって不可解な基準
 
 
 Eラインは1954年、矯正医のRobert・M・Ricketts が提唱した基準で、正式名称はAesthetic Line(エステティック・ライン)といいます。Eラインは、横から顔を見て、鼻とアゴの先端を結んだ線のこと。Eラインより若干唇の先が引っ込んでいる位
置が見た目に優れているといっています。日本の矯正医たちの多くは、この基準にならって口元を決めています。ですから、唇がEラインより飛び出ているとき、歯を抜かないとこの基準を満たせないと診断します。実際、健康な歯を抜いて矯正することが多いのはその基準のためもあります。
 
 
 私は、唇のように大きく動くところが、はたして正しい歯並びや咬み合わせの、特に歯を抜くか抜かないかの基準になり得るか疑問をもっています。怒っている人やいつも不満を訴えている人の唇はとがっているでしょう? 同じ人でも微笑んでいるときは口角が上がり、唇の位置は引っ込んでいる気がします。
 
 
 また、Eラインの基準が日本人に当てはめにくいのは、鼻の先端と下アゴの先端を基準としているところです。このラインより唇が飛び出していれば抜歯という、厳しい診断にもなり得るこの基準を考え出したのは、日本人ではなくアメリカ人です。

Eライン

Eライン


 
 
 日本人は明らかに欧米人より鼻が低く、欧米人のように下アゴの先端がとがっている人は多くありません。この基準を日本人の鼻とアゴに当てはめたら、口元が出ていると判断される人はかなり多くなるはずです。実際、低い鼻、とがっていない下アゴの先端をもつ人に、Eラインを適用して健康な歯を抜き、口元をEラインより内側まで引っ込めたら、どんな顔になるでしょうか? 全体的にフラットな、抑揚のない横顔になる可能性が高いと思います。そして、口元についている筋肉もうまく働かなくなり、表情までもが乏しくなってしまうのではないでしょうか。
 
 
 このような日本人向けではない基準を、歯を抜くか抜かないかという、最も大切なことの基準にしてもよいのでしょうか。それが基準の1 つだったとしても、日本人にEラインを適用するのはいかがなものかと思うのです。
 
 
 私は、日本人には日本人特有の顔があり、それをむりやり替えていく必要はないと思っています。欧米人の作ったEラインという基準を日本人にも当てはめようとするなら、まずは美容外科で鼻を高くしてから話を始めなければなりません。
 
 
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