◎矯正治療って恥ずかしいものなの?
日本では奈良から明治時代の初めまで、漆のような艶のある真っ黒が美しい色とされていました。当時、屋敷の中は薄暗くボーッと見えるので、化粧は白く、唇には紅、長い黒髪、黒まゆげ、お歯黒というのが顔を美しく華やかに見せていたようです。お歯黒の目的は、顔の色をより白く見せるための工夫だったんですね、また、結婚した女性はお歯黒をして、「浮気しませんよ!!」という証としたそうです。黒は何色にも染まらない色だからです。歯に対しても、歯を治していることにも、日本人は自信がなくネガティブなのは、このような歴史的背景とも無縁ではなさそうです。
また、日本語の発音も歯並びと関与しているのではないでしょうか? 世界の言語は、はっきり口を開けたり、おなかから発声しないと、うまく発音できない言語が多いのです。日本語は高低のアクセントはありますが、抑揚は少なく、あまり口を動かさなくても発音できる言語です。ですから、歯並びを人に気づかれにくい側面もあったかもしれません。もちろん、外国語をマスターしたいけど歯並びや咬み合わせが悪く、息が漏れたりする方は、発音という機能面を考えても矯正治療はするべきでしょう。
実は、私は学生の頃、歯並びは個性だと思っていました。それは自分の歯並びが悪かったから余計にそう思おうとしていたのかも知れません。しかし、思い切って矯正治療をした私は、想像以上の副産物を得ることができました。矯正治療をすれば、歯並びがよくなるのはもちろんですが、キレイな歯並びになってしまうと毎日気にしている歯並びを気にしなくてもよくなります。大きな口を開けて笑えるようになります。今より食事もおいしくなるでしょう。お口の中は清潔でキレイになります。息もさわやかになって会話も弾むでしょう。何より、あなたの笑顔は輝きを増し、イキイキとした表情になります。歯並びがよくなって人生観が変わり、元気になっていく方を私は何人も見ています。よりよい人生を歩むための矯正治療は、一生のうちのわずかな時間です。その時間が、残りの多くのあなたの時間を輝かせることは、いうまでもありません。