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健康な歯を抜かない歯並び治療とは? -3-

◎今までの矯正治療の問題点
 
 
 そもそも矯正治療をすることは、咬み合わせの治療をすることにつながります。この咬み合わせの治療とは、単に歯の並びの問題だけでなく、上下のアゴの位置関係や下アゴの動き、咀嚼筋や表情筋の機能、神経との関わりなど、非常に複雑な問題を扱うことです。そして、それらを考えながら、繊細に治療計画を立てたうえで行わなければならないはずです。
 
 
 しかしこれまでの矯正学は、これらの重要な課題に向き合ってきたと私は思えません。歯科矯正学の歴史を振り返ってみると、矯正装置の考案と改良の繰り返しでありました。これは歯をいかに動かすかというテクニック的なことです。もちろん歯を動かす技術の向上により、矯正治療が進歩してきたのは否めません。しかし、技術的な進歩のみが独り歩きしたがために、人間の体を機械的に考えてしまうという矛盾も出てきたのではないでしょうか? 
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 歯を動かすということのみに注目が置かれ、その咬み合わせや歯並びに至った原因を追究することが、軽んじられているよう
に思えてならないのです。それは、矯正治療前の検査の段階でも現れています。多くの矯正歯科では、歯並びを平面的に捉えています。実際には、顔面頭蓋の中の一部に、歯、歯並び、咬み合わせがあるのです。歯が3次元的に、どのような状態で存在しているかを調べて、初めて治療ができると思います。3次元的な考え方は、歯並びや咬み合わせの治療において、非常に大切です。視点が違うと治療方針も変わってきてしまいます。歯を抜く抜かないといった一生に関わることにもつながります。慎重に考えるべきでしょう。
 
 
 もう1つ、現在の矯正治療に足りないのは、治療目標だと思われます。テクニックに重きが置かれ、肝心な治療目標があいまいになってきているようです。治療目標が不明確であることは、それに到達するまでの具体的な指針が示されないことであり、患者さんにとってはゴールが見えないまま、出発してしまったような感じではないでしょうか。 
 矯正治療を成功させるためには、矯正治療を始める前の治療目標を決定する段階が非常に重要なのではないかと思います。
 
 

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