◎なぜ日本人は矯正治療に消極的なのか?
みなさんは、どういう人をステキだなぁと思いますか? 中国の昔のことわざに「明めい眸ぼう皓こう歯し 」という言葉があります。「ぱっちりとした明るい瞳と真っ白に輝く歯」という意味で、昔の美人の条件だったそうです。現代でも、口元からこぼれる白い歯は、万国共通の「美」の象徴です。ハリウッド・スターのまぶしいくらいの輝く歯にあこがれる方も多いはずです。「ハリウッド・ホワイト」という言葉があるくらい、アメリカ人にとって歯は、健康的なイメージを創りだすだけでなく、ステータス・シンボルになっています。
キリスト教の国では、上アゴの飛び出た犬歯は、悪魔やドラキュラをイメージするということで古くから否定されてきました、欧米諸国では小さいうちに矯正治療を受けることが多く、矯正装置が人に見えることも認知されています。仏教国である日本
は隠す美学もあってか躊躇されてしまう。治療したいけれどしづらい……というのには、宗教的な背景もあるのかもしれません。
矯正治療が健康保険外の診療であることも関係するでしょう。学校の歯科検診では、虫歯や歯周病は「治療してください」といわれるのに、歯並びは「相談してください」にとどめられます。明らかに咀嚼や発音に影響がある咬み合わせでも、「治したほうがいい」とは書かれません。国が矯正治療を保険治療で認めていないため、治療を強要できないからです(ただし、先天的なアゴの骨の異常などによる場合は健康保険が適応されます)。