おわりに -4-

◎おわりに(原田 正守)
 
  大学時代、卒業後の進路で非常に悩んだ時期がありました。その時、愛知学院大学の亀山教授から歯学部長室に呼び出されて、「原田君、今まで現役生にはない初の試みとして、社会人大学院生(臨床病院に勤務しながら大学院大学に進学し研究を行い、最終的に博士号の取得を目指す制度)をやってみないか? 君の成績なら大丈夫。推薦状は私が書くよ」と言われて興味を持ち始めたのが進学のきっかけでした。
 
 
 しかし、当初から大学院に進学して特定の分野のスペシャリストになりたいとの希望はありましたが、同時に勤める病院(現在勤めている臨床病院)も厳しいことで有名であり、かつ大学院の研究と、このハードな生活が両立できるかどうか不安がありました。さまざまな先生に相談しましたが、皆、答えは「No !!」でした。その時、矯正科の大学院生のK先輩に相談しました。その先輩は他の先生方と違って非常に志の高い方で、夜な夜な研究をしながら、臨床もきっちりこなし、そのうえ、海外も視野に入れた将来への展望もしっかりと持っている先輩で、唯一「トライすべきだ!! 誰もやっていないことに光がある!!」とアドバイスをしてくれました。
 
 
 その後、亀山教授に、「何事も初めてのことは不安が多いだろうが、切り開いていく勇気が必要。欧米では社会人大学院は当たり前。全面的にサポートするからやってみなさい!!」と大きな後押しがあり最終的に決意しました。大学院生プラス勤務医として両立させる4年間の生活は非常に大変でした。朝7時に起きて、帰りが遅い日は夜中の3時に帰宅。家に帰れば寝てしまいますから、ファミリーレストランで勉強をしていました。休みは学術大会参加、図書館に並んで勉強、職場内では同期と切磋琢磨しながら臨床に励む、と非常に充実した日々でしたが、それと同時に気の休まらない日々でもありました。そんな中で、大学院の仲間である、杉浦洋平先生、古田博久先生との出会いは私の人生にとって非常に大きなものでした。2人とも大きな向上心を持っていて、時には切磋琢磨し合い、時には励まし合う…私たち3人はそんな素晴らしい関係を持てていたのです。人生におけるこの素晴らしい出会いに非常に感謝しています。「心・技・体」といった先人の素晴らしい言葉がありますが、このことを教えてくれたのは大学院時代の経験だったと強く感じています。出身大学も違えば、専門分野も違う3人が日々臨床に励んでいる中でたどり着いた終着点は『予防』でした。そして、同時に「患者さんへの真の貢献」でもありました。この本が、皆さんの健康的な、豊かで、楽しいライフワークの一役を担えることができましたら、このうえない喜びです。
 
 
 今後とも「真心と報恩謝徳」を胸に、日々、仕事に臨んで参りたいと思います。
 
 
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