◎唾液の分泌量減少でドライマウスの症状が
最近、ドライマウス(口腔乾燥症)で来院する患者さんも増えています。ドライマウスは、お口の中が渇いて、食べ物が飲み込みにくかったり、会話がしにくい、口内炎や口角炎、口臭、舌が痛むなどの症状が現れます。
ドライマウスの主な原因は、唾液の分泌量の減少です。唾液の減少には、加齢による唾液分泌量の低下、ストレス、喫煙、更年期障害などが影響しています。腎不全や糖尿病などの有病者にも、ドライマウスの症状が現れますし、シェーグレン症候群という、唾液腺の分泌障害を伴う病気が背景にある場合もあります。シェーグレン症候群は、異常な免疫システムが自分自身の唾液腺や涙腺を攻撃してしまう病気で、唾液や涙が出にくくなるため、ドライマウスとともにドライアイの症状も現れます。このほか、降圧剤や抗アレルギー薬、咳止めなどの副作用として口が渇く薬剤性ドライマウスもあります。700種類以上の医薬品に、唾液の分泌を抑える作用があるといわれます。
唾液をつくる機能が低下していなくても、利尿剤などで体から水分が失われ、体が水分不足となっている場合、口呼吸の習慣がある場合も、お口が渇いてドライマウスにつながることがあります。
唾液は、お口の中をきれいにする抗菌作用や、食べ物を消化吸収しやすくしたり、喉などの粘膜を守るなど、さまざまな働きを担ってお口の中をトラブルから守っています。その唾液が減ると、虫歯や歯周病のリスクも高まってしまいます。