親知らず、放っておいても大丈夫? -2-
◎困った悪さをしてしまう親知らずなら抜くのがベスト
では、親知らずを放っておいたら、どのような問題が起きるのでしょうか?
そもそも歯には、支えがないと前や上へ進もうとする性質があります。そのため親知らずの生えてくるスペースが足りないと、親知らずはそのすぐ前に生えている奥歯を圧迫し続けます。その圧力は歯並び全体にも及び、結果として歯並びが悪くなってしまうのは、よくあることです。
本来上下合計で4本あるはずの親知らずが、2~3本しかないようなケースも問題です。仮に上の親知らずが真直ぐに生えてきたとしても、その歯と噛み合う下の歯が欠損していると、物を噛む役割を果たすことはできません。その歯がほかの歯よりも伸びて頬や下顎の歯茎に潰瘍をつくってしまうことや、物を食べる時にほかの歯に当たって、顎の関節に負担がかかることもあります。親知らずの抜歯は、こうしたほかの歯や、歯並びへの悪い影響を取り除くための処置なのです。
小児の矯正では、親知らずによってせっかく整えた歯列に影響が出そうな場合は、時期を見て抜歯することがあります。いずれにせよ、いつかは抜かなければならない状態の親知らずであれば、痛みが出る前に抜いてしまうのが得策といえるでしょう。
COLUMN
日本アンチエイジング歯科学会 認定医
杉浦由加里です!
◎歯のケア=全身のケア
毎日の歯磨きも忘れずに!
虫歯や歯周病など、歯のトラブルは自覚症状がないまま進みます。それを防ぐために毎日のケアが欠かせませんが、毎日のことだけに、少し面倒になることもあるかもしれません。
しかし、歯の状態は、毎日の暮らしや全身の健康とも深く結びついています。お口は、いわば健康のバロメーターなのです。
歯のコンディションがいいと、よく噛むことができます。食事中によく噛むことで、唾液の分泌が盛んになり、胃腸の負担が軽くなりますし、唾液中の酵素が発がん物質の作用を抑制します。そして、唾液はお口の中をきれいにしてくれ、虫歯・歯周病予防につながります。噛むことは、毎日の元気と病気予防に影響するのですね。
噛む刺激は脳を活性化するので、記憶力や判断力、集中力もアップします。仕事の効率もよくなるかもしれません。高齢者がガムを噛んだところ、認知機能が回復したという事例もあり、老化防止、つまりアンチエイジングの一翼も担っているのです。
◎噛むことはダイエット効果も期待できるのです。
また、噛むことは美容にも関わってきます。よく噛むことは、ダイエットの基本。しっかり噛んでゆっくり食べることで、脳の満腹中枢が正しく働くので、食べ過ぎを防ぐことができるのです。また、噛むことが交換神経を刺激するので、エネルギー消費が促されて、体の脂肪も燃えやすくなるとか。
噛む時に口元や顎の筋肉が鍛えられ、フェイスラインが引き締まるという美容効果もあります。
美しく年を重ねるために、フェイスやボディの外側からのケアは欠かせないもの。さらにひと手間かけて歯のケアを行い、歯の機能を維持することで、全身に健康効果があります。歯のケアを行うことは、つまり全身のケアを行うことなのです。