はじめに

hatto01私たち3人は大学院時代、顕微鏡で美しい歯の結晶を見ていました。接眼レンズの向こう側にある、ダイヤモンドにも勝るとも劣らぬ輝きに魅了されたのです。
しかし、この美しい歯の結晶は、常に破壊される危険にさらされています。残念ながら、一度虫歯になってしまうとほとんどの場合が自然には治らず、歯医者で治療を受けなければならないのです。もし、私たちの見た美しい歯の結晶が、一生守れるのならどんなに素晴らしいことであろうか? 私たち以外誰もいない大学の実験室で、語り合ったことを思い出します。
 
 
 最近、歯の再生が話題を呼んでいますが、私たちのような臨床に携わる歯科医師や、一般の患者さんに福音をもたらすレベルまでには残念ながら未だ至っていません。厚生労働省が掲げている健康日本21(第2次、平成25年4月より適用)では、80歳で20本以上の自分の歯を有する者の割合の目標を50%としています(平成17年で現在25%)。かつては80歳で平均7本しか残っていなかった日本人の歯は、今は約10本(平成17年歯科疾患実態調査結果より)残っています。歯科医師と全国民の努力により、効果が上がっているのは間違いありません。しかし、先進諸国に比べるとまだまだ低い水準だと思います。
 
 
 歯の調子が悪いということは本当に辛いものです。私たち3人は、毎日毎日たくさんの歯に悩みをお持ちの方に出会ってきました。「何とか多くの歯を残したい、守りたい。多くの方々が歯の悩みを持たず、素晴らしい毎日を過ごせ、思いっ切り自分の人生を謳歌できるのなら、どれほど素晴らしいことだろう!」そんな私たちの思いを一冊の本にしました。
 
 
 ご自身はもちろん、ご家族や大切な方が歯で悩んだ時、疑問が浮かんだ時、どのページを開いてもすぐに役に立つようにつくっています。また、情報のあふれている現代では、何を信じてよいかわからないこともあります。医者任せにせず、ご自身で病気や治療法を勉強したうえで受診することも大切なのではないでしょうか? そんな時にもこの本はきっと役立つはずです。歯医者に行く前に、ぜひ読んでいただきたいと思います。
 
 
 では、私たちと一緒に、
 一生歯を守る『予防』 の旅に出発しましょう!
 
 
杉浦 洋平・原田 正守・古田 博久
 
 
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