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歯を診るのではなく、人を診るということは-2-

◎将来まで考える歯科医療へ
 
 
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 歯の治療は問題になっている歯を診ればいいのではなく、その方の生活環境も見直していかなければなりません。なぜこうなったんだろう? 視診や検査では大丈夫なのになぜ痛みがあるんだろう? と常に疑問をもちながら診ていく必要があります。問題にはなんらかの原因がかならずあります。神経的な理由もあるのかもしれない。関連痛【( 注)意味 ある部位の痛みを異なる部位の痛みと脳が勘違いすることによって発生する症状。】だろうか?
 
 
 歯に通じる神経のもともとは1つです。1本の神経は、目、上アゴ、下アゴに分かれます。これを三叉神経と呼びます。脳の勘違いにより上の歯の異常が下の歯や目の痛みとなって現れることもあります。もし、原因でもない歯を削ってしまったら、痛みも取れず歯も失います。医師の「診断力」が問われる場面です。患者さんは早く歯並びを治したいという気持ちでいっぱいです。でも、早く「見た目が治る」からといってどんな手段でもキレイになりさえすればよいのではありません。諸外国の美容整形や審美歯科では、ここまでやるかというくらい身体を変えてしまう国もあります。残念ながら日本でも、歯に関しては年々ハードルが低くなり、簡単に歯を人工的に加工することが、とても多くなっています。歯も身体の一部です。一度削ったり抜いたりすると、二度と戻せません。
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 聖路加国際病院理事長の日野原重明先生は、次のようにおっしゃっています。「多くの人々は、自分の財産や名声や地位を得るために全力投球している。それなのに、財産やお金よりも大切な、自分の命のために全力投球している人は少ない。なぜ、その大切な命のために、時間と財産を提供しないのか、そうして安全に確保された命を思いきり有効に使おうとしないのか。自分の命を自分で格調高く保つための勉強を、めいめいがもっとしなければならない。」
 
 
 皆様が、ご自身の体や歯の健康に少しでも関心を抱き、よりよい人生を送るための一助に本書がなれましたら幸いです。
 
 

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