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口元の美しさを考える-1-

◎ほんとうのキレイは機能的美しさ
 
 
 モノづくりの世界では常に機能と美が要求されます。機能的に豊かなものは美しく、形の美しいものは機能的であるという原則があるようです。名品といわれる道具や車、建物や服飾品はみんな使いやすいうえにキレイです。矯正治療も同じだと思います。きちんと機能を伴った健康的な矯正治療をすると、その人本来の顔や表情が甦ります。患者さんから「審美歯科と矯正歯科はどう違うのですか?」という質問を受けます。美容整形はまぶたを二重にしたり鼻を高くしたりして美しくなるための治療です。そして目を二重にするとき、目そのものには触らず、目の周りの筋肉や皮膚を引っ張ります。他のものに置き換えるのではなく自分の組織の一部で施術するので、時間が経つとそれなりに自分の一部になっていきます。しかし歯は、抜いたり削ったりして人工物を継ぎ足しても絶対に自分のものにはなりません。入れるものがニセモノだからです。美容整形で鼻を高くするためにシリコンを入れても、それを抜き取れば自分の鼻に戻ります。しかし歯はどう考えても違います。自分のものがなくなってしまうんですから。
 
 
 矯正歯科で行う歯列の矯正は、美しくなることが目的でも根本的に違います。目や鼻を整形しても、目がよく見えるようになるとか呼吸が楽になったなど、機能がよくなることはありませんよね。歯列矯正は歯並びをよくすることで噛む機能を高め、全身状態を向上するという目的をもっています。見た目をよくするだけが目的の審美治療の場合、歯を抜いたり削ったりして人工物に変えて、出っ歯や受け口を治しますが、噛む機能や咬み合わせについてはほとんど無視されています。文字通り見た目をよくする歯科で、体への影響は考慮されません。
 
 
 残念なことにそうした傾向は、矯正歯科にも見られます。見た目だけを優先して治療すると、歯をお口の中に収めて、前歯をきれいに並べて治療は終わり、です。しかし、歯並びが悪くて困っている患者さんは、きれいになりたいだけでなく何らかの体調不良を抱えていることが少なくありません。当然のことながら、矯正歯科は本来もっているアゴの機能(下アゴの動き)に合わせて歯を並べることで機能を回復させます。審美治療と同じように「美しく見せる」という目的だけで治療すると、健康な歯を抜いて矯正することに抵抗がなくなってしまいます。矯正治療とは、本来「天然の歯を美しく機能的な状態に回復させること」です。その結果、健康的な美しさを手に入れることができるのです。
 
 

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