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「歯が命」のほんとうの意味を考える-4-

◎歯ぎしりがストレスを減らす⁉
 
 
さて、乳歯が生えてくると「咬み合わせ」ができてきます。初めは前歯だけしかありませんが、だんだんと奥歯が生えてきて、咬み合わせが安定してきます。この時期の歯とその咬み合わせは、食べものを噛むという機能以外に、非常に大きな役割があります。
 
 

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歯ぎしりが強くて摩耗している子ども


成長期の子ども、とりわけ生後6~7年間は、一生のうちでも最もたくさんの教育を受ける時期です、言葉の使い方、行動の仕方、その他たくさんの教育を受けます。それは同時に禁止事項を教えられることにもつながります。人間としてうまく生活ができるようになるための倫理観、社会性などを教えられるのです。それは、子どもにとって非常に強いストレスでもあります。
 
 
私たちはつい、大人のほうがストレスが大きいと思いがちですが、実は成長期の子どもも強烈なストレスを感じながら生きています。どの子もこの時期を耐え、乗り越えて大人へと成長していくのです。
 
 
この強いストレスにうまく適応していくために「歯」が大切な役割をになっていることはあまり知られていないようです。子どもは非常に強く激しく歯ぎしりをします。
 
 
歯ぎしりはイビキのような寝ているときの悪い癖と考えられがちですが、意味合いが違います。私たちは怖い思いをしたり強く緊張すると、歯を食いしばったり全身に力を込めたりしますよね。筋肉を収縮させることで、精神的なストレスを解消しているのです。歯ぎしりもその一種で、脳に強いストレスがかかると、口やアゴの周りの筋肉(側頭筋や咬筋など)を緊張させることでストレスを解消するのです。歯ぎしりは、その筋肉の緊張の現れです。
 
 
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歯ぎしりの状態を調べるブラックスチェッカー


程度の差はありますが、寝ている間にする子どもの歯ぎしりは大人以上に多く、かなり長時間している場合もあります。どんどん成長して物事を吸収していく子どもたちは、日中たまった肉体的、精神的ストレスを発散するために激しく歯を使っているんですね。夜間歯ぎしりをして、ストレスを溜めないようにしているわけです。
 
 
「うちの子は歯ぎしりがひどいんですが、大丈夫でしょうか?」と質問されることがあります。歯ぎしりはちゃんと意味があってやっていることで、病気ではありません。ほとんどの場合そのままにしていてもよく、すぐにやめさせようと思わないほうがよいのです。
 
 
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歯ぎしりが強くて摩耗している大人


乳歯列期の歯をよく見てみると、もともととがっていたはずの歯の先端がすり減っているのをよく見かけます。これは食物でこすれて削れているのではなく、まぎれもなく歯ぎしりで削れたためです。歯は自らをすり減らして、人間の心や体のバランスを保っているのです。
 
 
大人、子どもに関わらずほとんどの人がするといわれている歯ぎしりや食いしばり。近年、脳にたまったストレスを発散するために無意識のうちにしていることがわかってきました。もし、歯並びや咬み合わせが悪くてスムーズに顎が動かせないと、人間が本来もっているストレス発散の機能を発揮できません。無意識でする歯ぎしりは、自分でコントロールできませんが、咬み合わせが良ければ「正しい歯ぎしり」をすることができ、自然に起きる上手なストレス解消法となるのです。
 
 
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