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「歯が命」のほんとうの意味を考える-2-

◎自分の歯がオイシイ理由
 
 
 自分の歯を失っても、最近はいい入れ歯やインプラントがあるから、噛むのも困ることはないだろうと思っていませんか?

 入れ歯やインプラントで、食べ物を噛み砕いて飲み込めるようにすりつぶすことはできても、食べ物の硬さ、やわらかさといった繊細な食感を得ることは、天然の歯にはかないません。それは、食べものの硬さや厚みを感じるのはセンサーである歯根膜が、歯の根の周りにあるからです。歯根膜は非常に敏感なセンサーで、ごく薄い紙を噛んだときにもその厚みを感じることができます。
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 歯根膜は、歯根と歯槽骨の間にある90〜230μmと非常に薄いコラーゲンでできた線維で、骨と歯のクッションの役割をしています。噛んだものの性状を認識したり、唾液の分泌を促したり、下アゴの動きを調整しています。そして、硬いものを噛み続けたり、歯ぎしりや食いしばりの癖があったり、虫歯や歯周病がひどくなったとき、その敏感なセンサーは噛むことをやめさせます。
 
 
 歯を失えば歯根膜もなくなるので、硬さややわらかさを感じることができません。好みのご飯の硬さ、新鮮な野菜のみずみずしい食感、ふんわりしたケーキ……、これらを感じることができなくなるのです。入れ歯で食べるのは、プラスチックの板で歯ぐきを押しているようなもの。指で歯ぐきを押してみるとわかるかもしれません。何とも味気ないものでしょう? 素晴らしく精密に作られた入れ歯は、人工臓器として最大限の機能を発揮し、とても敏感な自分の体の一部として機能しますが、それでも自分の歯より優れた人工歯はないのです。
 
 

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